わが家には犬がいます。16歳10ヶ月のラブラドール・レトリーバーで、かなりの高齢犬です。
ただ、老犬になってもとてもかわいいので、今も昔も、私の人生をものすごく楽しくハッピーにしてくれています。
2年以上前から歩けなくなって、そろそろ死んでしまうのではないかと思っていましたが、まだまだ元気です。
さて、今回は犬の安楽死について真剣に考えてみたいと思います。
安楽死とは
人間における安楽死とは、助かる見込みのない病気等になってしまった本人の希望によって、少ない苦痛で死に至らせることです。
犬の場合はもちろん少し違っていて、犬の希望ではなく、飼い主の希望によって安楽死が行われます。
なんのための安楽死か
犬を安楽死させる理由は、いくつかあると思います。
例えばこのような理由があるかもしれません。
・犬が病気や怪我などで苦しんでいる、またはこれから確実に苦しむから
・飼い主の引っ越し等の理由で犬と暮らせなくなってしまったから
・犬と暮らすのにウンザリしたから
・老犬の介護をしてきたが、飼い主が倒れてしまったから
犬を愛する飼い主なら、安楽死などありえないと考える方も多くいることと思います。
ただ、犬自身が明らかに苦しんでいる場合や、がんなどでこれから確実に苦しむであろう場合は安楽死もやむ無しと思うかも知れません。
日本では安楽死を選ぶ飼い主は多くないようですが、海外では治らない病気や、治療に高額な医療費がかかるような病が犬に見つかった場合は安楽死を希望する飼い主が多いようです。
次に、飼い主の引っ越しで犬と暮らせなくなってしまったという事情も、人生において絶対に無いとも言い切れません。もちろん、安楽死させる前に、飼い主が他に飼い犬と暮らしてくれる人を探さなければいけませんが。
そして、本当に犬を愛するなら、犬と暮らし始める前に、そんなことが絶対に無いようにしておかなければならないのも事実でしょう。
そして、犬と一緒に暮らすのにホトホト『ウンザリ』する、というのもあるかもしれません。
長く犬と暮らしていると、一瞬そう思うことは誰しもあるはず。
しっかりとしつけをしているはずなのに、たまに裏切られることもあります。家に帰ったら家の中がグチャグチャに荒らされていたとか。履いたあとの靴下を持って行ってしまうとか。なにか理由があるにせよ夜中にワンワン吠えるとか。おやつを与えていたら噛みつかれてしまったとか。散歩をしていたら急に引っ張られて、結果的に飼い主の骨が折れてしまったとか。
もちろん視点を変えたら、それこそが犬の魅力的でかわいいところのひとつでもあります。
いずれにしても、『ウンザリ』が理由で犬を安楽死させることはおそらく出来ないでしょう。万が一ウンザリが理由だった場合は、獣医師になんらかのウソをつくことになると思います。
最後に、飼い主が老犬介護で疲れ果て、最終的に倒れてしまった、ということもありえますね。
ここまで頑張って介護をしてきたけど、飼い主自体が倒れたら元も子もありません。
誰も飼い犬を介護してくれない場合は、残念ながら犬には安楽死(もしくは保健所)しか選択肢がありません。
愛犬の命は、飼い主や一緒に暮らす家族にとってどのくらい重要なのか
少し話がそれますが、私は過去に交通事故に遭ったことがあります。合計で4回も。その中でも2013年の交通事故で命を落としかけています。
だからこそ私は、命が今日にでも終わってしまう可能性があることをよく知っています。
自らの命や、家族、愛犬の限りある命を、身体に多すぎる負担をかけてまで無理して生き続けることにこだわりを持つのは良くないとは思っています。
しかし、今回の安楽死は、人生に突然訪れる不慮の事故や、心臓発作などの突然死ではありません。
ただ、死ぬという意味では全く同じです。
問題は、飼い主自身が愛犬の命を、この先をすべて握っているこいうこと。生かすも殺すも飼い主次第。
今まで愛してきたはずの犬自身が、安楽死で死んだほうが苦しまないのか、どうなのか。
飼い主として、愛犬を安楽死させたほうが自分が苦しいのか苦しくないのか。
愛犬と一緒に暮らしてきた自分以外の家族は、愛犬を安楽死させたらどう思うのか。
結局、私や皆さまのように犬を愛する人間としては、愛犬がどのような死に方をしても悲しいのは同じだと思います。
安楽死が最も悲しくないのか、愛犬としては安楽死が一番ラクな死に方だったのか。
迷いは深まります。
最終的に安楽死を決意する理由とはなにか
何らかの理由で、本当にどうしようもなくなったとき、愛犬を安楽死させなければいけなくなるときが来るかも知れません。
読者の皆さまは、どう思うでしょうか。
自分と一緒に暮らす愛犬が、がんだということがわかったら。
どうすることも出来ない引っ越しで、犬と暮らせないことがわかった上で、引き取ってくださる方がいなかったら。
老犬や病気の犬と暮らしていて、自分が倒れそうになるほどに疲れてしまったら。
どんな決意をするでしょうか。
安楽死か。はたまた、なにか他の手段で愛犬を助けるか。
どういう選択をするのか。それは飼い主であるあなた次第です。